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「マイナーキーの正体」 その2


前号までのあらすじ

マイナーキーを掘り下げると、結論は「マイナーキーのポイントは濃度」…とは。

中世、グレゴリオ聖歌の時代にはメジャーキーやマイナーキーという理論体系はなく、単旋律音楽なので和音という発想もありませんでした。「モーダルメロディー」の時代です。

そののちに、トニック、サブドミナント、ドミナントの分類を主体にした「機能和声」が確立し、この理論体系を形成するにあたって、最も適した音階がメジャースケールでした。そしてメジャースケールが西洋音楽理論の王様として君臨し、それは数百年経った現在に至るまで揺るがない存在です。

その王様であるメジャースケールの第6音を主音にしてみる…ここからマイナーキー(マイナースケール)が産声をあげます。グレゴリオ聖歌時代のエオリアンモードは既にナチュラルマイナースケールと同様ではありましたが。


このような背景の中でマイナーキーが背負わされた宿命…それは「いかにして平行長調の支配から逃れるか」ということでした。

例えばAマイナーキーの基本音階はAナチュラルマイナースケール。これはCメジャースケールと同じ内訳です。この内訳の中では、たとえメロディーが「ラ」で終わったとしても、たとえコードがAmで終わったとしても、「『ラ』が一番エラい!」とは言いきれない、つまりこのAマイナーキーのウラではCメジャーキーという黒幕が糸を引いています。

ここからの脱出劇が、すなわち、ハーモニックマイナースケールやメロディックマイナースケールへの展開です。

ナチュラルマイナースケール、ハーモニックマイナースケール、メロディックマイナースケールの三者についてはあらゆる理論書・楽典などに載っていますが、念のため次号でそれらの意図を整理しておきます。

つづきます。


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