今回は「バラードにおけるスピード感」について。
バラード、特にジャズバラードにおいて「緊張感がない」「間が持たない」という場合…
それは
「潜在的なスピード感がない」
ことが原因ではないでしょうか。
バラードは1拍の時間が長いため、画一的なフィールで支配されるビートではありません。つまり、1拍の細分化が多種多様で、かつ、それらが同時に存在する、ということです。
ジャズバラードにおいては、少なくとも
8分音符
3連符
16分音符
6連符
の同居は必須です。
これらを併せるとすれば、1拍内には8つのタイミングが存在することになります。
コンピングであれソロであれ、常に毎拍ごとに、この「1/8の選択」を迫られているわけです。たとえ音数が少ないとしても、それが完全に選択されたタイミングであるかどうか、がポイントです。
そして、それらに加えて「8分音符のスイング」「16音符のスイング」も含めれば、潜在的なタイミングはさらに増えます。
それはとても緊張感を伴うものであり、かつ、とてもめまぐるしいことです。
バラードの「1拍」をイメージすれば…
昭和の頃にはまだまだ野原がそこかしこにあり、時おり「蚊柱」を見かけたものです。バラードの「1拍」はまさに蚊柱のイメージです。1拍内を多数のタイミングが「ウヮ〜」っと飛びかっている様子です。
それこそが「バラードの緊張感」であり「スピード感」です。この細分化を持てるかどうか、が「緊張感のあるバラード」になるか「単にゆっくりな曲」になってしまうか、の分かれめです。
バラードはスピーディーで大忙し、と。
おあとがよろしいようで。